僕の目に写る偶像「ニキ、おめェなンかユタに余計なこと言った?」
人の目がない、二人っきりだと意外と静かな人が僕を呼び止めた。んでもまだちょっと“天城燐音”だな。ここはESの廊下だし、誰か通るかもしれないから当然か。
「余計なことってなんすか? 燐音くんへの愚痴とか?」
「それ言ってンのヒナの方だろォ?」
普段の“天城燐音”ならこんなこと言えばちょっと過激なスキンシップが飛んでくるものだが、僕の“燐音くん”はただ事実を指摘するだけ。
っていうかなんだろ。心当たりがないな? ひなたくんや弟さんには寮で同室であるから結構燐音くんのことを話すが、ゆうたくんとはあまり接点がない。もちろん接客としてなら接するけれど、それだけだ。
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