ひいあい/あんスタ 藍良の叫び声は、アパートの部屋によく響いた。
「えっヒロくん、一億のマンション買っちゃったのォ!?」
張り詰めたように壁が震え、ビィン……と余韻を残す。ボイストレーニングの効果は充分に出ている——でも、今はそんなことはどうでもいい。
目の前の一彩は、不思議そうにこちらを見ていた。悔しいが、最近CMで同年代の女の子に王子様などと言われて持て囃されているらしい。王子様だって? 見る目がなさすぎる。まあ確かに、顔立ちは凛としてとても綺麗だけど——いや、そんなことはどうでもいい。
「な、ななな、なななな……」
藍良は壊れた玩具のように繰り返し——
「なんでェ?」
最終的に、目をパチパチと瞬きさせながら首を傾げた。
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