磯の鮑の片思い零が髪の毛を切り髭を剃ってきた。こざっぱりとしたその風貌にゴクリと喉がなる。普段見えない所を見る事が出来るというのはどうしてこうも興奮してしまうのだろうか。
「え〜何どしたん零失恋でもしたん?なになにこんなツルツル……いやちょっと髭生えてきてチクチクしとんな」
いとも簡単に体に触れはしゃぐ簓が心底羨ましい。
俺の気持ちも知らず——零の気持ちも知らずにはしゃぐ簓が少し、妬ましい。
零はきっと俺が触れる事も許してくれる。でも許してくれるだけで特に何も思ってくれないだろう。
「ま、そんなもんだな」
「え、ガチなん?」
いつもの様に笑いを含まない声色に顎を撫でる簓の手が止まる。
「ガチだよガチ。どっかの誰かが週刊誌にすっぱ抜かれたりするもんだからな」
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