こうきょうの公園の砂場はふえいせいだから、手で穴なんか掘っちゃダメだって母さんが言ってた。
元々砂場あそびなんてしないし、ボクには関係ないって思ってたけど、さっきからずっと一人で砂場の砂にゆびをつっこんで、あーでもないこーでもないって書いては消してをくりかえしている子の、その書いている地図が気になってしかたなかった。
ボクはすわっていたベンチに画用紙と色えんぴつを置いて、とうとうその子に声をかける。
「ねぇ、それってさ、バレーの……」
ボクがその子に声をかけたしゅんかん、いきおい良くびょっとこちらに向けられた大きな二つのひとみが、ボクも女の子みたいってよく言われてるけど、その子のひとみはボクよりもあんまりにも大きくて、息をひゅっと吸ったあと声が出なくなってしまった。
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