『俺が嫌いな俺を好きな彼』「……何それ、いつ買ってきたんだよ」
大学から直でバイトへ行って、疲れて帰ってきてみれば共用のダイニングルームのソファを占領して、朝には見かけなかった巨大な熊のぬいぐるみを抱えたデカい男が、二人掛けのソファがもうどこにあるんだというくらいの状態で、のびのびと寝そべってテレビを見ている。その姿に、自分の体から疲れのせいだけじゃない溜息がどっと噴き出した。
「先週ネットで注文したのが、今日届いたんだよね~」
若利くんみたいで可愛いでしょ、と言うが、残念ながら自分にはあの大男も、2メートル級の巨大熊も可愛いとは思えなかった。
「自分の部屋に持って帰れよ? 俺、そういうの好きじゃないし」
「エッうそ! 孝支くん、モコモコするもの好きじゃん」
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