北海道満といっしょ「うーん、迷ったねぇ」
「マスター、これは遭難、と言いませぬか」
「キミがいるからそこまでではないでしょ」
立香がからりと笑って道満を見上げれば、ええ、はい。まぁ、なんとか致しますが。と胡散臭い笑みが返される。
事の起こりはこうである。日本の北海道にて微小特異点が発見され、マスターと適性のある英霊三名がレイシフトを行った。年代は百年ほど前という曖昧なものであった。現地に着いてすぐ通信は途絶え、とりあえず全員で近くを探索してみるも現地の民族抗争に遭遇し、逃走。途中、同行サーヴァントであったアナスタシアと曲亭馬琴が囮となり、マスターを争いから離脱させたのである。道満は式神を用いつつ本体はマスターに随伴。二人で人気のない方へ逃げるうち、山あいに迷い込み、今に至る。
10234