Eエンド後小説 進捗一部公開1章
(前略)
スマホのロックを外して開いたのは、職場の同期とのLINEグループの下、大学の登山サークルやゼミのトーク履歴に埋もれ、さらに下の方に追いやられた馴染みのある名前。以前より落ち着いた印象のアイコン画像。
小林大地。
久しぶりに気が向いて、ついタップした。あの旅行の初日の日付に、早朝の短いラリーがある。「起きた!」と無事に起床できたことの報告に、親指を立てたスタンプで返している。待ち合わせの駅に何分に着くという報告が最後。合流してそのまま。あれ以来メッセージが送られることはなかった。
ふと、楽しくないなと素直に思う。
あんなことがあった割には、不思議と元気にやっていけているけれど、俺の毎日は明らかに味気無くなった。あの後面接にも通って、無事に国家公務員として就職した。ただ、今抱えているこの味気無さは、就職したからとか、所謂社会人、大人になったからじゃなくて、大地がいないからだと気付いている。同僚ともうまくやれていると思うけれど、大地ほど馬の合う友人は得ていない。
5859