皇子は踊る。月の輝く宮殿で Introduction マナの女神が眠りについてから4年。各地で戦乱のあとはいまだ残るものの、今は少しずつ平和へと向かっている。
この森を支配していた精霊の力が減少したこともあり、永久と言われた夜の森にも僅かな時間であるがうっすら暁を取り戻しつつあった。
三つ子の月を頂にそびえ立っている月読の塔の屋上の真ん中で、重い溜息をつきながら頭をうなだれている青年がいる。
月よりも鮮やかな金の髪と、印象的な暁の光のような瞳をもつ青年…さらにこのひとならざるものの世界の王を次ぐもので、4年前マナの妖精の勇者に選ばれた一人である、その頃はまだあどけない印象の残る少年であったが、今や身長も伸びて顔つきも少し大人びてきた。
(困った…どうすればいいんだ)
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