ボクのキズ、キミのココロ第3話 3
普段ならば未練がましくならないために、己に課したルールを守っていた。新一と肌を重ねる時は、三度まで。それ以上肌を重ねてしまうと、色々と己の中に課した自戒が崩壊すると危ぶんだためだ。それなのに、あの夜、自ら降谷はそのルールを破ってしまった。思えばそこから関係性の崩落が始まっていたのかもしれない。
イレギュラーに四回立て続けに肌を重ねた夜の二日後、厄介な案件を受け持つことになり、庁舎に缶詰状態でほぼ二ヶ月間、掛かりきりになった。
ようやく過激派新興宗教の無差別テロ計画を完全に潰して団体員を一網打尽にした帰り、丸々二ヶ月、部署一丸となって取り組んだ労をねぎらう名目で公安行きつけの居酒屋に入り、やたらとやかましい若手の緑下が臆することなくグイグイと降谷に話しかけてくるのも、いつもならば邪険に扱うのだが、今回の案件での一番の功績者であるため、その日は幾分降谷としては寛大な態度で緑下に向き合っていたように思う。
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