じわりとコンクリートに血溜まりが広がっていく。麗美は目の前に倒れている男を見て思わず顔をしかめた。見知らぬ男が死んだところで特になんの感情も湧かなかったが、ぱくりと割れた額から赤黒い液体が溢れ出るさまは、あまり気分のいいものではない。麗美はひょいと死体を飛び越えると、その先にいる長い髪の男に駆け寄った。
「レジィ様」
麗美が声をかけると、レジィと呼ばれた男はゆっくりと顔を上げた。
「あっという間に片付いちゃいましたね」
「ああ。威勢は良かったが、大したことはなかったな」
目を輝かせて話す麗美に対し、レジィはつまらなさそうに相槌を打つ。麗美はそんなレジィの様子を気にもとめずに、はずむような声で話を続けた。
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