歓喜する蝶 すずれちゃんに美味しいチョコを食べさせよう。
俺は花々のつどいでチョコを配ると謳うチラシを握りつぶした朝から、躍起になっていた。
とっても好きなアリスのすずれちゃんに、食べさせたい特別なチョコレートを考えることで頭がいっぱいだったのだ。
日当たりの良い明るいキッチンは、試作したチョコレート菓子で溢れていた。
でも、まだまだ物足りない。
コーヒーが好きなすずれちゃん。お酒が好きなすずれちゃん。どんなチョコレートなら喜んでくれるのかしら?
クリームをかき混ぜるボウルに自然と力が入る。跳ねたクリームが頬に付いたが気にならなかった。
クリームの隠し味にスミレのリキュールを入れてみようか。
そんなことを窓を見ながらぼんやり考えていると、よく知った人影が映った。
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