新しくできたというジェラートの店までデートに行った帰り、地獄では珍しくもない唐突な爆発。もちろんアダムもルシファーもそれで怪我をする訳でもなし、一旦は各自で炎と衝撃を防いだのち、煙に視界を遮られながらもルシファーの名を呼んだ。しかし、なんだか様子がおかしいのだ。今踏みしめている地面はコンクリートのはずだが、つるつるとした──そう、例えるなら天国のような感覚がする。
流石のアダムも警戒しもう一度ルシファーの名を呼ぶが、返事がない。そうして一際大きな爆風に思わず目をつぶると、その瞼を開いた時には懐かしい天国の自室に立っていた。
「…………はっ?」
*
目を開けると自室に立っていた。さっきまで街にいたはずが、アダムがワープを使ったんだろうか。そう思って横を見ても、アダムの姿はない。それどころか、部屋に強烈な違和感をおぼえる。アダムの私物が一切ないのだ。
1507