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    うきご

    @thankshzbn

    ルシアダとかを投げる場所

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    うきご

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    記憶喪失ネタのルシアダ
    がんばって書き切るぞ〜
    お〜

    ##ルシアダ

     砂埃の中で、崩れ去ったホテルの残骸をぼんやり眺めていた。特に個人的な思い入れがある訳ではないが、チャーリーの大事にしていたホテルだ。より立派に仕立て直してやろう、どんなデザインにしようかと思案していたところで、早速再建の準備に入るとチャーリーから号令がかかった。まずはそこかしこに転がった天使と食人族の死体を処理するところからだ。散らばったパーツや食べられたあとの残骸、まだ綺麗に残っている死体も綺麗に魔法で食人街へと転送する。さくさくと歩みを進めていると、一際大柄な死体が目に入った。アダムだ。
    「哀れなものだな」
     こいつも食人族に食われるのか、と頭をつつくと、怒りと戦闘の興奮でハイになっていた頭が冷え、だんだんと感傷的な気分になってきた。天国を追われた今、あの頃を共有できるのはリリスか、会合で時折顔を合わせるアダムくらいだった。リリスは消え、アダムは死んだ。途端世界から切り離されたような、深い孤独感に襲われる。
    「……アダム」
     殺しておいて、と怒るだろうか。いや、そんなことはどうだっていい。私の寂しさが最優先であって、アダムの意思は二の次だ。
     死した魂を悪魔として甦らせる。禁術だったが、悪魔に堕ちた者にそんなことは関係なかった。



     秘密裏にアダムをルシファーの城へと移し、血まみれの衣服を着替えさせ簡単な治療を施すと、アダムを悪魔にするべく儀式が行われた。私からすればどうということもない儀式だ。
    「……ここは……」
     アダムはすぐに目を覚ました。何回か瞬きをすると、私の顔をじっと見つめる。すぐに罵倒が飛んでくるかと思っていたが、まだ頭がぼんやりしているのだろうか。
    「お前は」
    「ああ、おはようアダム。気分はどうかな」
    「気分……は、あまり良くない。体中痛いし……いや、それよりも」
    「それよりも?」
    「誰だ?」
    「は?」
     今、コイツはなんと言ったか。誰だ? と。私にか?
    「覚えてないのか」
    「悪い……思い出せるのは名前と、ここが地獄だってことくらいだ」
     愕然とした。何度も蘇る運命である悪魔と違って、繰り返す命に耐えられないのだ。許容できるのは一度の死と、二度目の生のみ。それを超えたアダムは、生前──人間だった頃と天使だった頃の記憶をほとんど失ってしまったらしい。
     つまり、どちらにせよ、あの頃を知るアダムは死んでしまったのだ。しかし生き返らせてしまったものは取り返しがつかない。もう一度殺す気にはなれなかったし、姿形だけでも同じ人物が傍にいれば違うような気がした。
    「あー……アダム。混乱しているとは思うが、ひとまずここで暮らすのがいい」
    「いいのか?」
    「勿論! 私はルシファー。ここの主だ」
    「ありがとう、ルシファー。アダムだ。よろしく」
    「……ああ、よろしく」
     かくして、私たちの奇妙な同居生活が始まったのだった。
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    Replies from the creator

    うきご

    DONEpixivにもアップしている短編小説です。
    こういうルシアダが好き〜と思って書きました。雰囲気。

    月をあげる≒Promise the moon
    できもしない約束、という慣用句です。
    この言葉が刺さりすぎたので、ぜひみなさまのルシアダにおける「Promise the moon」を見せてください!お頼み申します。
    月をあげる深夜の談話室は薄暗く、弛緩した独特の空気が漂っている。ほとんどの住人が寝静まったなか、アダムとルシファーは誰もいないバーカウンターで酒を飲み交わしていた。
    いつもは煽りあい小競り合い殴りあってばかりのふたりも、この時ばかりは穏やかに昔話に花を咲かせたり、くだらない、取り留めもない会話に興じている。チャーリーがこの場面を目撃したとしたら、「いつもそうやっていてくれたらいいのに!」なんて嘆きそうだ。ふたりの喧嘩でホテルを大きく修繕するはめになったのは、決して一度や二度の話ではない。「頭を冷やしてきて!」とふたりしてホテルを追い出されたり、お互いを知るためと一週間同じ部屋で過ごしたこともあった。それは思い出したくもない悪夢であるが、それが功を奏してか、今では稀にサシ飲みをするまでになっていた。時間帯が誰もいない深夜に限られるのは、間違っても「仲良し」だなんて思われたくない、というふたりの共通認識にあったが、それでも関係性はだいぶ修繕されたと言っていいだろう。
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    うきご

    DONEあつ。(@atu_pkpkn)様の素敵ネタをお借りした短編小説です。
    甘🍎と虐🎸の邂逅。

    甘🍎は甘🍎なので甘🎸のことめっちゃ好きだし、同じ虐🎸のことも愛し〜って感じです

    快くネタをお貸しいただいたあつさん、本当にありがとうございました!😭
    邂逅 朝の気配に目を覚ます。靄のかかった頭がまだ眠っていたいと瞼をおろすが、今日は朝食にパンケーキを焼いてやる約束だ。約束を破ると拗ねた小鳥のご機嫌取りに丸一日を費やす必要があるし、何より私自身が恋人を──アダムをがっかりさせるようなことはしたくなかった。
     大きなあくびをひとつして起き上がると、隣ではアダムが寝息を立てている。しかし、いつもより顔色が悪い。体調が悪いのだろうか?その場合、パンケーキを食べさせるのは避けた方がいいだろう。起きるには少し早いが、確認のためにアダムの肩を揺すって起こしてやる。
    「おはよう、アダム」
    「……?」
     いつもなら何回か瞬きをしたあと、笑っておはようと返してくれるアダムだが、今日は何故か混乱したようにあたりを見回して、何度も私の顔を確認しては言葉にもならない音を零していた。不審に思って声をかけようとすると、それを遮るようにヒステリックな声が飛び出す。
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