無題此処はひどく暖かい。
そこに、その人はいた。
見慣れた顔、見慣れた声で私を呼ぶ。
オズ。お前は本当、しょうがない奴だな。
彼は私のよく知る、少し困ったような笑顔を浮かべた。
貴方に呼ばれるだけで心が暖かくなる。
「そんな風に育てたのは貴方ですよ。」
皮肉めいたように返すと、彼は更に目を細めた。
ずっと私がこの人を守るのだと。
この拾われた命を、例え失ってでも守ると誓った。
それ程に、私の中で貴方の存在は大きかった。
…そんなんで俺がいなくなったらどうするんだ?
ふと、そう言われて私は固まった。
貴方がいなくなってしまったら私は一体どうするのだろう。
貴方のいない世界で、私はどう生きていけばいいのだろう。
……深く考える事などないじゃないか。その時は、私も
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