きみの永遠にはなれない「すまない黒野君。答えはノーだ」
脳天をガツンと殴られたような気分だった。残酷なまでに平淡で穏やかな声が耳の奥で谺する。
握り締めすぎて震える拳を隠すように、玄武は泣きそうな顔で不器用に笑って見せた。
玄武が生まれて初めて落ちた恋は、密やかで前途多難なものだった。
まず懸想した相手が悪すぎる。元教師でありながらアイドルを志し、夢のために真摯でストイックな姿勢を崩さないような人物に、真面目が服を着て歩いているようだと言っていたのは誰だったか。
何より一番の壁となるのは、相手が同じ男性であるということだ。
同姓での交際は今時珍しいことでもないが、職業柄、そして相手の性格からして受け入れられるのは前途多難と言えるだろう。
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