冬の待ち合わせする現パロの土斎の斎視点『悪い、遅れる』
そのメッセージが送られてきたのは、斎藤が到着してから二十分ほど経過した頃。ここまできたらいくら待とうが一緒だと、すぐさま『了解』のスタンプを送り返した。
とは言え約束の時間自体はまだ数分先だ。久しぶりの恋人とのデートに浮かれまくって、斎藤の方が早く来すぎてしまったのである。
学生の身分である斎藤と違って、やり手のエリートサラリーマンの土方はいつも忙しい。スマホでやり取りはできても直接顔を合わせるのは先月ぶりだった。多忙な中、斎藤のために時間を割いてくれるだけでもありがたいのだが。
不意に彷徨わせた視界の中に喫茶店が入った。流石にこのまま寒空の下、待ち続けていては凍えてしまうだろう。何か暖かいものでもと自然に足がそちらに吸い寄せられる。
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