キイロとミドリの話、あるいは女王様と従者の話昔々、あるところに鳥を飼う家がありました。
コザクラインコのタイガーチェリー雌で
美しい黄色の羽と赤い目を持つ、人間から見ても美人のキイロは、
雛から(母が)育てましたが、それはそれは気性が荒く、
育ての母以外は生物から無機物まで総てを乱暴に扱い、
気に入らなければ鬼の形相で噛みつきまくる、超女王様でした。
そこに、一匹では可哀想と同じコザクラインコ雄で
鮮やかな緑と青の羽を持ち優しい黒い目を持つ、ミドリがやってきました。
これも雛から(母が)育てましたが、同一種族かと思うくらい、
性格は穏やかで決して嘴を向けず、後に生まれた子供達にも威嚇される
くらいおとなしく、それでいて人間の言葉も教えれば教えただけ覚え、
反対に余計な言葉は覚えず、そして何よりキイロに献身的で一途な、
3640