【よそのこ】【オリキシン】北の神の春日和 人魚と形容して笑われたのはまだ記憶に新しい。極光の王女は深窓の令嬢のように穏やかで、しかし凛々しく強靭だ。自分の側にいるのが勿体無いくらいだと思ったこともある。……歯の浮いた台詞はお互いの腹筋に良くないため口には出さないが。
普段はラップタオルを巻いた子供のような愛らしい姿をとっているリヒュペだが、どうしたことか今日は神相撲をするときの大きな姿をとっていた。
「面白いものが観れるかもしれないぞ。出かけようじゃないか」
そう言った彼女に連れられて、どこかへと向かっている。白いドレスとカーテンが目立たないかと一瞬気になったが、一般人には太陽自身しか見ることができないと思い出して今に至る。
穏やかな春風に流れるカルガモの親子を橋下に眺めながらのんびりと歩みを進めた。リヒュペのコツコツとコンクリートを踏む足音はささやかだ。
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