呼びたい気持ち「おじぃちゃま」
そう呼んでいいと言われてから、何度も呼ぶ機会はあったのになんだか照れくさくて呼べない。
意気地無し…つい自分に悪態をついてしまうくらい照れてしまう。
「呼んでやればいいじゃないか」
鶯のお爺様はくすくすと笑う。
この人はいつもこうだ。大包平様の事となるといつも楽しそう・・・。
湯呑みを軽く揺らす手の片方が俺の頭に乗る。
「あいつは案外寂しがりなところがある。沢山甘えて振り回して、外に連れ出してやってくれ」
優しい声。
大包平様が外の自由に触れたのは一時の話。大事にされていた分、外から隔絶されていた。
俺とは真逆な人。俺の汚い部分で汚すのが怖くなるくらいの美しい人。
彼が許してくれたように呼べたら、俺の汚れも薄まるだろうか。
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