お互い忙しい身、それでも何とか正月気分を味わおうと立ち寄ったコンビニで見つけたのは、カップに入ったお汁粉だった。
薄めに切られた餅が入ったそれを手に取って、大和は思案顔だ。甘いものは苦手ではないが、そこまで求めているわけでもない。ただ、このとろりとした温かさや甘さは、仕事に疲れた身体や頭を癒してくれるに違いない。
でもなぁ、一人でこの量は多いな・・・と悩んでいると、肩越しに手元を覗き込んでくる男がひとり。
「お、汁粉なんてあるんだな」
耳元で話しかけられるこそばゆさを堪えつつも男の方に目をやれば、その男もいまいち思案顔だ。たしかに、この男も甘いものが得意ではない。でもあったまるだろうな、なんてところだろう。
5496