恋とは罪悪 それは確かに愛だった。
パンの焼ける匂いで意識が浮上した。身体は怠く、腰の辺りが重たい。まだ抱かれるのに不慣れな身体はアフィーシュの名残にじんじんと火照り、俺はため息をついて起き上がる。1DKの部屋は俺が書斎として占領してしまっていて、すぐそこから見えるキッチンでは、アフィーシュがフライパンを持ち出すところ。彼はくるりと振り返って「おはよう、ベンジー」と、やや照れ臭そうに笑う。初々しい恋人同士の目覚めだ。昼下がりの太陽が窓から光を投げかけている。まだ開けきらない目を瞬かせて、俺はベッドから降りた。寝間着から着替える気にもならずにキッチンへ行くと、少し珍しそうに彼は首を傾げる。
「着替えは?」
「後でもいいだろ」
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