手を繋いで君と二人で「暇だ」
蝉が元気に鳴いている、よく晴れた夏のある日。
シェアハウスの共用部分にあたる、畳が敷いてあるリビングに大の字になって寝転んでいた五島岬は、天井を見上げてぽつりと呟いた。
「そうか?」
対して、壁に寄りかかって座り、抱えたギターの弦を撫でるように触っていた大和は、ギターから岬へと顔を向けると、きょとんとした顔で尋ねた。
「ああ、暇だね。バイトは店が数日休みだから無いし、ガキどもはみーんな親戚の家とか旅行に行くから駄菓子屋も閑散としてる。俺らのライブも向こう一週間くらいはない」
「なら練習すればいいんじゃないか?」
「ドラム無しで練習するのは限界があるんだよ。かといってスタジオ入って個人で練習するにはスタジオ代もったいねえ感じするし、どうせなら全体で合わせたいし」
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