天秤——1つ、君に質問がある。
斜陽が入り込む禍特対室にて1人業務を進めている中、突如降ってきた声にわずかに身じろいだ。
約半年前、丸の内にて巨大化した部下に目を剥きながらもビルの屋上へ登った時を思い出す。あの時と声の主は異なっているが、初めて聞くものでもなかった。
「…機動隊に取り囲まれるのは、しばらく勘弁したいんだがな」
『その点を警戒する必要はない。監視の人間には職務を続ける君が見えている』
どのように、と聞いても答えは返ってこないだろうし、こちら側に理解できる内容でもないのだろう。田村は重い息を吐き出した。
ウルトラマンが飛び立ち、天空に浮かぶ生物兵器と共に消えた後。ただ一点を見つめる自分たちの元に現れたのは、金色の外星人だった。
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