血潮に滾る性質でもないし、戦闘に高揚を見出す性質でもない。必要に駆られれば武器を取り、必要に駆られなければ手に取らない。それだけの事。かといって、タルタリヤの立場上、望む望まざるに関わらず、武器を取る事が強制される場面も多かった。組織に属する以上仕方なしときっぱり割り切れる時もあれば、僅かな煩悶を覚える事もある。
時に、必要の有無はともかく、一分たりともちくりとしたものを抱えない事だってある。たとえば、璃月から離れた場所で賊に刃物を向けられた時だ。少し痛めつけて、捕吏に突き付けて、はいおしまい。そうされるだけの肝の小ささが賊にあるとは限らない。相手が横柄の粋を極めた者であるのなら、手にかけてしまう事だってある。死なせないように、という心遣いなど持ってやる義理などないからだ。
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