宇宙高く宙は鳴きプププ…ププ…ルルル…ボロン
乾いた空気の中に乾いたギターの音が溶ける。
指先から弾ける波紋はノイズに消えて、曇天の宇宙に微睡む。
「ここは暗く、寒いね。悲しくて落ち着くよ」
空からたくさんの忘れ物が落っこちてくる中、こんなことを呟いてみた。
ギターの音よりもボクの声は忘れ物に吸収されない。そんなとんでもない忘れ物は持ち主の元へ還ることは、ない。
ラズベリーの香りのする宇宙では、またひとつ宝物を無へと還す音がする。
『無』という存在が『有』るこの世界は面白いと喉を鳴らした。
「神さまはいないけど、お姫さまはいるよ」
ピックを放り投げて、付け足すように
「お姫さまという、神さまはいるよ」
楽しい言葉遊びをしたところで部屋に戻った。もちろんギターは忘れ物と一緒に忘れてきた。
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