笙主♂プロット膜が包んでいる。
それは俺をこの世界から隔離していた。
すりガラスのような膜は全てを遠くのものにさせた。
皆と話しているのに自分が話しているように感じられない。
ご飯を食べているのに自分が食べているように感じられない。
膜越しに見る皆の顔はぼんやりしている。
話す言葉は質の悪いスピーカーから漏れ出てるようにくぐもって聞こえ、現実感に欠けた。
ただこれでもちゃんと感情はある。
困っている皆を見ると胸が痛むし、共感だってできる。
だけどこれは別の人が感じているもので自分のものではないような変な感覚が同時につきまとった。
あのときだってそうだった。
入学式から逃げ出してほどなくデジヘッド達に追われていたとき。
周りの景色は曇り、アリアの声もエコーがかかっていて全てが他人の出来事のように感じられた。
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