ENN組ゆるワンドロ⑤(5/28)【天気】ざあざあ。
ぽつぽつ。
雨だ。豪雨とは言わないが、しっかりと降り注ぐ雨粒は窓を強く叩いている。
空気中の湿度がほのかな雨の香りとなってナワーブの鼻をくすぐった。
ナワーブは雨が嫌いではない。恵みの雨という言葉があるぐらいだ。故郷では雨は生活水の元になるし、作物を育て、時には家族の語らいの時間を増やしてくれる。
もちろん戦場での雨は視界を遮り、体温を奪い、ぬかるんだ土は足跡を残すためあまり歓迎されないのだが。それはそれ、これはこれ。こと荘園では雨の日の試合はないため、なおのこと歓迎されるべきものだった。
「だるい。あたまいたい。ナワーブさぁん、肩揉んでぇ」
一部のサバイバーを除いて、ではあるが。
あまり物が置かれていない殺風景なナワーブの部屋に、ノートンが分厚い鉱物辞典を持って訪れたのは朝食後すぐのことだ。
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