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    yaginoura0811

    @yaginoura0811

    キショウタニヤマボイスの世界で13年くらい生かされてます。

    雑多なものの基本は総じて右側。推しの移り変わり激しい人間。推しの右側エロ大好き!!!!!!性癖色々。

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    yaginoura0811

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    ラカアオに幸がありますように。
    愛を奏でるシンフォニー。

    #ラカアオ
    lacao

    俺は、一台決心した。

    ずっと踏ん切りがつかなかった事にケジメを付けるために。
    それはアオイドスとの関係に一区切りをつけるための準備。

    思えばアオイドスと出会って2年近くになる。
    操舵士とミュージシャンという全く違うフィールドにいた俺達がこの広い世界を、団長を通じて出会った事は奇跡と言っても大袈裟じゃ無い筈だ。

    最初アイツと会った時、名前を名乗るよりも先にバンドを組もう!とか言われるし、今では呼び慣れたアカイドスという変なあだ名まで付けられちまったのが今では懐かしい。

    何もかも分からない状態でアオイドスと旅をする事になって、弾いたこともないベースを持って慣れないパフォーマンスに明け暮れて、気がつけば年月は経ってた。
    勿論、楽な道じゃなかったしアオイドス自身も自らの無くした記憶との葛藤もあってお互いに過去を受け入れて成長したというか、そうやって一緒に旅をしてアオイドスの事を知るきっかけにもなっていった。

    何処を切り取っても思い返せばいい思い出だったと思う。

    そして、いつしかそれが当たり前になっていった。
    その当たり前がふと無くなった時、俺はなんだか物足りない気持ちになった。
    旅は危険なことがいっぱいだ。だからこそアーティストとして輝いているアオイドスを戦場の場に向かせたくなかった。

    アオイドスは音楽を通じて世界を変える、俺は団長と団長の両親と、空を旅する騎空士達との架け橋になりたいという夢があったから、いくらバンド仲間とは言えどずっと行動を共にする事は難しかった。

    口にしたことすらないが、自分の帰る場所にアオイドスがいてくれたらと、そう思うようになった。
    違う夢があるからこそ、お互いに夢に向かって走る喜びを分かち合えたらいいなと思った。

    離れていても分かち合っている証が欲しかった。


    だから俺は、決めたんだ。

    アオイドスと、共に歩く事を。

    それには沢山の苦労があるかもしれない。
    けれど俺は少しでも、アオイドスとの当たり前を築きたい。
    手が伸ばせる距離で感じていたいと思ったんだ。





    「……それにしても…高いな…」

    俺は、丁寧にガラスのショーケースに置かれている輝くものに目移りしていた。
    何カラットだとかそういうことよりも先に、並ぶ高額ルピの値札に目がいった。ポンと買える値段じゃない。
    言っても操舵士は富裕とは無縁で、設備に膨大なルピがかかる。半ば奉仕活動みたいなものだ。
    俺たちの懸賞金のルピにも驚いたが、これも半端じゃないルピを要求している。
    お店の店員の笑顔が悪魔の顔に見えてしまう。

    「婚約指輪でしたら、少しお値段は張りますが人生の決断の時にはこちらをおすすめします」

    店員が差し出した指輪のダイヤモンドがやけにキラキラと光り輝いている。絶対高いやつだと思う。目が眩んで値札はよく見えないが、絶対高い。

    結局俺は指輪を買えずに店を出た。
    清々しいくらい青い空を見て俺はため息を吐いた。

    正直、プロポーズの正解が分からない俺はこのところずっと悩んでいた。
    付き合うのではなく、婚約を約束する儀式だからヘマをすると断られるんじゃないかと恐怖している。
    おまけに、相手はあのアオイドスだ。

    何度か、アオイドスがそういう誘いを受けている様な場面を目にしたことがある。
    アオイドスの方がこういうプロポーズには慣れているはずだ。
    今までアオイドスがどんな事を言われたとか、どんな演出をされたとかそんな事ばっかり気になってしまった。

    自分はそれを超えることが出来るのか、自分はちゃんとアオイドスに受け入れて貰えるのかと。
    もし、失敗してしまったら。

    下手をすれば今までの関係も崩れてしまうかも知れない。
    はっきり言って、ここまでアオイドスと付き合うとか伝えずに来たから。
    ただ何となく雰囲気でアオイドスとの関係は良好なのだと思っていた。
    アオイドスとの触れ合いも、一応してきたし拒否もされなかったから俺と同じ思いなのだと思っていた。

    …でも、もし、もしそれが俺の勘違いだったら。

    決断しておいてこんな事で悩むなんて情けないと自分でも思う。


    「……いや…ここで決めなきゃどうする…ラカム」

    自分で鼓舞するように俺は一人呟く。
    決めたじゃないか。
    アオイドスと同じ人生を歩むって。
    覚悟を持でなきゃ男じゃあない。



    次のパフォーマンスの練習が終わった後各々解散の準備をしている最中、俺はアオイドスの様子を伺っていた。
    いざ、プロポーズを決意した旨を伝える為に声をかけるタイミングを測っていた。

    場所はもう決めてある。あとはアオイドスをそこに呼ぶだけだ。
    そう思うのに心臓がバクバクと鳴って収まらない。こんな事でプロポーズは上手く行くのだろうか。
    いいや、悩むなラカム!

    俺は自分の頬を掌で2回叩いて深く息を吐く。


    「アオイドス!」
    「ん?なんだアカイドス」
    「あ…あのよ…落ち着いたらでいいんだが…少し話があるんだ」
    「そうか。なら今でもいいぞ?」
    「いや!ここじゃ何だから!俺たちが最初に出会った場所分かるか?」
    「ああ」
    「そこで、いつでもいいし待ってるから来てくれるか?」
    「…?分かった」


    どうしてそんな事を言うのだろうという顔をしてアオイドスは首を縦に振った。
    とりあえず場所も伝えたし、あとはあれを用意して待つだけだ。

    でも、アオイドスは果たして来てくれるのだろうか。








    夜風が気持ちよく吹く中、俺はアオイドスを待っていた。
    今日は晴れ晴れしていたお陰で星が綺麗に空に散らばって映えて見えている。

    この星のように一つ一つアオイドスとの思い出が思い出されて俺は笑ったり少しムッとしたり、様々な事を思い起こしては考える。

    こんなにも短期間に自分の脳裏に深く思い出が刻まれた事は今までになかったから。
    たかが2年、されど2年。

    年月なんて関係なくアオイドスは俺の懐に飛び込んできて、掻き乱してこっちばっか流されてしまって、何なんだと思う時もあるけど、俺はそんな出来事が愛おしい。

    だから、ここで今からその気持ちを嘘偽りなく伝えたい。
    そんな想いが溢れて止まらなかった。


    そんな時だった。

    「アカイドス、待たせたな」
    「……あぁ」
    「ところで、話とはなんだ?GIGの話ならグランサイファーで…」
    「アオイドス。俺が話したいのはGIGの事じゃないんだ」
    「…では、なんの話だ?」

    そうアオイドスに問われた俺はポケットの中に忍ばせていたそれを掌に握りしめた。
    一呼吸置いて俺はアオイドスの顔を真っ直ぐに見る。
    まだ何を言われるのか不透明なアオイドスは俺の目から視線を逸らさなかった。


    伝えるんだ。本当の気持ちを。

    「…アオイドス。俺はずっと団長と旅をしてきて…グランサイファーをもう一度跳ばしたい一心で向き合ってきた。俺にはグランサイファーが大事で、そのグランサイファーでアオイドスと過ごしてきて思ったんだ。もし、アオイドスとこれからも一緒に旅が出来たらって」
    「それは今でも旅をしてるだろう?」
    「違う。そう意味じゃないんだ」
    「……?」


    ああ…。俺はどうしてこんなにも情けないんだ。
    今になって、断られた時の恐怖が襲って来る。

    決めていた心がぐらりと揺れる。

    だけど、俺は……。
    アオイドスと、共に生きていく。

    「アオイドス。俺と……俺の隣でずっと死ぬまで、シンフォニーを奏でてほしい。これは、その印として受け取って欲しい」

    俺はポケットから取り出したそれをアオイドスに差し出した。

    「…これは?」
    「…悪い…指輪、買おうとしたんだが…その…手が出せなくて。でも、グランサイファーの部品を繋ぎ合わせて作った指輪、みたいなものを持ってきた」
    「…………」
    「あ、でも、要らないなら受け取ってもらわなくていいし!なんなら俺が処分しても………」


    突然慌てふためく俺の手を取ったアオイドスは、真っ直ぐに芯を持った瞳で言った。

    「…要らないとは言っていないぞ。俺のために作った指輪だろう?」
    「…ああ、そうだ」
    「なら、捨てる理由がないだろう。君が、嵌めてくれ」
    「……分かった」

    俺はアオイドスの細長い指先を折れないように持って、少し緩めの指輪を薬指に嵌めた。
    ダイヤモンドみたいな輝きは全くないけれど、指に嵌められた指輪を見たアオイドスは星空に負けないほどの輝く微笑みを浮かべて俺を瞳に映す。
    その輝きに、俺は目が離せなくなっていた。

    「……君とのシンフォニー、喜んで奏でようじゃないか」
    「……本当か?」
    「俺は嘘はつかない」
    「……はは…良かっ…」

    自分でも呆れるほど間抜けな声が漏れて、全身から力が抜けたような気分だった。
    アオイドスに受け入れられた安心感で俺はなんだか無性に泣きたくなった。

    「いや…プロポーズって…慣れてないっていうか…初めてで…こういうのはアオイドスは慣れてるかも知れないし断られたらどうしようかと…」
    「…誰が、慣れているって?」
    「…え…アオイドスが、こういう、そのプロポーズとか散々受けてきたろ?だから…」
    「……確かに、親交を深めようという誘いは数えきれない程あるが、プロポーズされたのはアカイドスが初めてだ」

    初めて…?え…。
    待ってくれ。
    俺の頭がパニックを起こしている。

    しかし、考えてみればアオイドスの言う事は嘘でもなんでもない。
    自分はただそういう雰囲気の場面に遭遇しただけでそう思ってしまっていただけだった。

    そうだと知って俺は妙に納得した。
    勘違いだけで俺はありもしない他の奴のプロポーズを越えようと悩んでいたのかと思うと笑いが出てしまう。

    「そっか。…そうだよな!ははっ!俺はなんて勘違いをしてたんだ」
    「ああ。そうだな」
    「可笑しいよな!自分でも情けないぜ!忘れてくれ今のは」

    俺は恥ずかしさ隠しに豪快に笑ってアオイドスに背を向けた。
    結果良かったじゃないか。

    俺はちゃんと受け入れられたんだ。
    そう安心してまた笑った時。


    「……ラカム」
    「あ?なんだアオイド……」

    ふと名前を呼ばれて思わず後ろを振り向いた。
    ふわりと香ったアオイドスの匂いと唇が俺に近づく。
    初めて名前を呼ばれた事に気付いたのと同時に重なった唇の温もりに俺は時が止まったようにアオイドスだけしか目に映っていなかった。
    アオイドスの背中に腕を回して自分の胸に収めながらもう一度離れた唇を優しく触れ合わせる。
    アオイドスの柔らかい髪に指先を埋めて、腕の中にある温もりが離れないように引き寄せた。

    祈りと一緒に色褪せない時間を離さないように俺は星に願った。



    どうか、アオイドスと俺の間にずっと幸せの鐘の音が鳴り響きますようにと。
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    yaginoura0811

    DONE再び声が出なくなるアオイドス。その原因は?

    ラカアオシリアス。モブ女の子騎空士登場。名前はない。
    突然、アオイドスの声が出なくなってしまった。
    前触れもなく、本当に当然に。

    歌うことは出来る。何故かステージの上ではいつもの伸びやかな歌声が出た。
    ただ、日常会話をする中での発声は全く出来なくなってしまったのだ。
    人間が自分の意思を伝える上で欠かせない声。

    まるで、ノイズの中で過ごしていた子供の頃に戻ったようだとマネージャーはなんともやるせない顔で言った。
    なんとかこの状況を打開する策はあるのだろうか。

    精神に関わることだとしたら何が原因なのだろう。
    アオイドスはどうするつもりなのだろう。



    「アオイドスさん、お昼にしませんか?」

    ルリアがアオイドスを呼びに部屋まで来ると、その声に手を上げて応えた。
    とことこと走ってきたルリアはアオイドスの手のひらに指で文字を書いて内容を伝えた。
    今日のお昼はオムライスだと。
    アオイドスは笑って分かったと口を動かして答える。
    ルリアがそれを確認して部屋を出て行く。

    普段の日常会話はこうしてやりとりしている。スケッチブックに文字を書いたり短い単語は口を動かして伝えたり。
    なんとかそうやって生活は出来ているものの、アオイドスは人知れず頭を抱え 4545