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    ひすずし

    DONE【ディークレ|※BL|※過去捏造】

    FE封印の剣の二次創作です。
    幼い頃、命を救ってくれたディークに憧れながらも、無自覚な独占欲を抱くようになったクレイン。月日が流れ、十九歳になったクレインが同盟軍でディークと再会する話。続きます。

    ◆注意
    ・原作過去捏造
    ・年齢制限はありませんが、がっつりBL
    ・独自解釈を含みます
    ・解釈が合わないと感じたら、そっとページをお閉じいただけましたら幸いです
    銀の庭に放たれて①ディークは幕舎の前に腰を下ろし、銀細工の短剣を膝の上に置いた。刃が薄く、軽い剣だった。ディークの大きな手に載せられると、武器というよりはバターナイフなどの他愛無い食器の類に見える。銀というのは放っておくとすぐに曇る。そして柔らかく、脆い。これは短剣の形をしているが、木の皮を剥く程度の用途にも耐えず、どうにも実用性がなく持て余している。

    ディークはため息を吐きながら、短剣にまとわりつく夜霧のような汚れを荒っぽく拭い始めた。全体をがしがしと磨いてから、乾いた柔らかい布で仕上げてやる。すると寝ぼけたような鈍い灰色をしていたものが、急に星屑を散りばめたような静かな光を帯び始める。

    柄に彫られた獣の瞳が生気を取り戻したように、こちらを睨んでいる。東方に生息するという縞模様の猛獣の目に、一粒の宝石が光っている。
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