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    mgn_t8

    DONE診断メーカー「三題噺」より
    「不機嫌」「言い訳」「昼下がり」
    フォロワーさんとワンドロ(+5分)

    リリーが魔法舎に来てすぐ後くらい。ファウスト語りで主にファウスト+レノックス。リリーはチラッとな革命軍組の話。
    胸に隠したそれは 再会してからずっと気になっていることがある。レノックスのリリーに対する呼び方だった。昔は敬称付けでリリーベル様と読んでいたが、今はリリーと愛称で呼んでいる。ここに至るまでどんな経緯があったのかは知らないが、共に南の国から魔法舎にやってきて親交もあったというから僕の知らない間に親しくなったのだろうということは考えなくても分かる。分かるけれど、レノックスとリリー、時にはフィガロを加えた三人の様子を見ていると胸の奥がざわりと騒ぐのを抑えることができなかった。

     ある日の昼下がりだった。東の魔法使いたちの午前の実地訓練を終えて食堂で皆で昼食を取った後だった。図書室で今後のカリキュラムを考えようと足を向けた時だった。廊下の向こうから歩いてくる人影を認識した瞬間、口を引き結んだ。レノックスとリリーだった。和やかに会話をする姿は親しみに溢れていて信頼に満ち満ちていた。未だここにいる魔法使い全員に慣れていない様子が窺えるリリーの朗らかな笑顔が向けられているのは微笑を浮かべたレノックスだった。何となく彼らから視線を逸らして黙ってそのまま歩を進める。
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    102tony_TB

    PROGRESS行き当たりばったりで書いてる无双凤崔小説。
    できたところまでアップしちゃいますが、何せ行き当たりばったりなので後で変わるかもです。
    でも楽しく書いてます!
    ネタバレあるっちゃあるけど、これだけ読んでも特に何かわかるわけじゃないだろうから問題ないかも。
    无双創作番外1-1「生きてお前に会えて、よかった」

     微笑みに見とれていた凤崔はその言葉が聞こえた瞬間、夢遊病患者のようにフラフラと崔不去に歩み寄った。
     気づいたときには寝台に乗り上げて崔不去を押し倒し、深く口づけしていた。
     崔不去の舌の甘さを味わう凤霄の脳裏にはここが左月局の局内であることや崔不去の部下が近くにいるということがうっすらと浮かんだが、崔不去が凤霄の腰に手を回して口づけを返してきた衝撃に思考はすっかり霧散してしまった。
     凤霄は夢中で崔不去の口の中を舐めまわし、舌を吸って唇同士を擦り合わせた。崔不去は大きな反応は見せないが、息継ぎの際の苦しそうに弾んだ息と時おり小さく漏らす低い呻き声は凤霄の脳髄を大いに刺激した。崔不去が掴んだ腰から甘いしびれが生じて凤霄の背筋を駆け上る。凤霄は熱く固くなったものを崔不去に押し付けてどうにかしたかったが、相手は意識を取り戻したばかりの病人である。名残惜しく何度も離れかけてはまた吸い付いてやっとのことで唇を離すと、崔不去の顔は酸欠で赤らみ目には涙が浮かんでいた。やや眉根を寄せて目を伏せた表情は日頃の冷静さを保っているが、頬と目元に赤みが差し、唇が腫れていることによって、とてつもなく扇情的で魅惑的に見えた。
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    zeppei27

    DONERONIN主福、前作の何となく続きです。無茶な人助けばかりする隠し刀の姿を見たらば、普通は心配になってしまうのでは?理性的に面倒を避けようとする諭吉の理解を超えた行動なんだろうなあと思うと、ちょっとだけ申し訳なくなります。冷静な人がメチャクチャになってしまう姿は良い。
    前作>
    https://poipiku.com/271957/10302464.html
    名付けたならば まだ熱を持っているような気がする。鏡台の前で髪を整えながら、福沢諭吉は努めて上の空でいようと懸命な努力を続けていた。普段であれば真正面から鏡の中の自分に向き合うところが、今日はどうにも難しい。否、この数日ほどはずっと同じ煩悶を繰り返しては鎮めていた。毎日見てそらで思い出せるような自分の顔など、今更何を感じよう。形ばかりの気合を入れてちら、と鏡を見てう、と思わず呻き声が出た。
    「いつもと同じ、のはずなんですけれどもね」
    どうしてこうも面映さが沸々と胸の中を満たしてゆくものか。ちらりと一瞬見ただけで、自分に向けられた眼差しの熱さまで思い起こされて頬が上気する。数奇な出会いを経た友人かつ一教子に過ぎないはずの隠し刀が、戯れともつかぬ誘いかけで自分の顎に触れた。太く節くれだった指先は戸惑う諭吉の唇をこじ開け――狼藉はそこまでだった。悪戯げな囁きを残して、全ては何事もなかったかのように日常に舞い戻っている。
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