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    なんば

    さばみこ

    TRAINING習作、パスタを作って食べるイチナンの話です。
    ※8の冒頭軸で、原作通り一番が片思いからの失恋をしている設定です。ナンバの片思いです。この後二人は両思いになりますがそういう設定の単発の短編です。
    絶望パスタ 料理が作られていく音を聞きながら、一番は自宅のソファで項垂れていた。はあ、ともう何度目になるか分からないため息が部屋に響く。
    「元気出せよ、もう聞き飽きたろうけど……」
     台所にいるナンバが振り返り声を掛けてくる。
    「だってよ、既読すらつかねえ……」
    「ああもう、ため息やめろ、幸せが逃げるって」
     同じくもう何度目になるか分からないやり取りを繰り返してから一番はソファに深く座り直す。そんな様子を見届けると、ナンバは肩をすくめてまた料理に取り掛かった。彼の立つ台所からは何やらおいしそうな香りが漂いだしていて、一番は久しぶりに腹が減るのを感じた。
     一世一代の大告白でヘマをやってから、一番はもう何週間も落ち込んでいた。食事が喉を通らなくなったことなんか滅多にないのに、この頃は食欲も落ちている。そんな姿を見かねたのか、ナンバが飯でもどうだと誘ってきたのが昨日の夜のことだった。親友相手に見栄を張ることもないので、正直にあまり外に出かける気にならないと打ち明けると、それなら家まで作りに行くと返事が返ってきた。持つべきものは世話好きの親友だと感謝しながら、一番は素直に甘えることにした。
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