勝者不在「僕ってカッコいいかも」
　ソファーで伸びている百々人が隣に座る俺に聞こえるような音量で呟いた。視線こそこちらを捉えてはいないが、何も写していないスクリーンを見つめている春の紫陽花のような瞳は俺の言葉を待っている。
「そうだな。端正な顔立ちだと思う」
「それでね、すごく可愛い」
　視線は相変わらず絡まないが、眺める横顔は『カッコよく』て『可愛い』。百々人がそれを認識しているのならなによりだ。
「ああ。顔立ちはもとより、雰囲気が柔らかくて愛嬌がある」
「なにそれ」
　百々人がゆっくりと俺を見る。うっすらとした笑みを浮かべた顔は『キレイ』だった。その顔を歪めることなく薄桃色の唇が開かれた。
「じゃあ僕が醜くなっても好き？」

・利休さん＆駒姫とスカディ様、メイヴちゃんにキャスニキ、香子さんにダ・ヴィンチちゃんにミス・クレーンとか。いろいろキャラを小出ししています。アンソロジーなので、たくさんの人が出てくるようにあえて出てもらいました。駒姫さまや香子さんはとりわけ好きな鯖でもあります。駒ちゃん可愛い。

・三人称ですが、基本的にアルジュナと藤丸立香の視点が切り替わる形になっています。そのため、アルジュナはところどころ固めの表現にするため漢字に、藤丸立香は柔らかめの表現にするためひらがなにした部分があります。またそれとは別に、同じことばでも漢字とひらがなであえて分けている部分があったのですが、多分修正してもらったと思います。