信じなきゃ伝わらないもの／kksgちょうどリーグ部の部室に2人きりになった。これはチャンスだと思って、オイラの気持ちをそのままスグリへ伝えたんだ。でもスグリは、少しだけ低い声でこう答える。

「何考えてるか、わかんね。」

意を決したオイラの告白は、こうした彼の素っ気ない返事で終わってしまった。



帰省からリーグ部へ戻ってきたスグリは、どこか様子が違っていた。その違和感は、どんどん性格や風貌にも反映していき、オイラに勝ってチャンピオンになった頃には、今までのスグリはどこにも姿を見せなくなっていた。
キョーダイが留学してきてからは、特にオイラの言葉を信じなくなった。
オイラは本音を言っているつもりでも、スグリにはなかなか伝わらない。今までの行いが、と言われてしまえば、確かに反論は出来ない。

「あ〜もう、これも違う」

ノックしても返事がないから、そっとドアを開けた。中からは苛立ち混じりのリツキの声。どうやら曲作りがうまくいっていないらしい。
とはいえ、もう食事の時間はとっくに過ぎている。何も食べずに作業を続けるのはよくないと思い、片手で食べられるサンドイッチを作って持ってきた。

「リツキ」

少し大きめの声で呼ぶとリツキはゲーミングチェアを回転させて、険しい顔でこっちを睨む。

「は？何勝手に入ってきてんの？」
「…ノックしたけど返事なかったから」
「いやしらねぇから。さっさと出てけ。おまえと話してる時間ないの」

棘のある言葉に、相当機嫌が悪いのが分かった。
前の投稿してから、次の曲を出すタイミングはなんとなく決まっていて、その日はもうとっくにせまっていた。だから焦ってるんだろう。