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    エプロン

    Lei

    DOODLEきっと👹のエプロン姿が好きな🦊はいるはず
    ある朝の一幕朝ふと目が覚めて横を見ると、一緒に夜を共にしたはずの男は隣にいなかった。カチャカチャと寝室の外から物音がするから、きっと朝食を作っているのだろう。彼の作る食事は頬が落ちるほど美味しいのは知っている。だけど、彼の腕の中で目を覚ましたかったとすっかり欲張りになってしまった自分がいる。まだ寝たかったけれど、2人用のベッドに1人で寝なおすのは寂しくて適当にそこらへんにほおってあったシャツを身につける。
    そおっと物音を立てずに寝室から出れば、上機嫌に歌いながら料理をするヴォックスの姿があった。彼もTシャツにスエットと格好つけた普段からは想像できないほどにゆるい恰好。その上につけられているのは、同棲を始めた日に自分が贈った黒のエプロンだった。料理についてはヴォックスに頼りきりになってしまうことが分かっていたので、せめてもと購入したエプロン。黒のシンプルなデザインだが、大きめのポケットや厚手の生地など使い勝手の良さそうなものを選んだ。思っていたより彼は喜んでくれて、ちょっとしたことでも着用している。自分が贈ったものを身につけながら料理をする彼を見るのは、実に満足感を得られて楽しみの1つだ。今もこっそりとリビングに入って、料理をする彼を見る。ベッドにいなかったことは、この光景で帳消しにしてやろう。
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