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    オックス

    Q781N

    DOODLE涙と約束(付き合ってるマオックス)
    マオの過去についての描写を含みます。
    「マオって、映画好き?」
    「そうでもない」

    やば。即答しちゃった。パッと笑ってみせていつものように「アレくんは?」と聞く。
    オレの様子に「?」を浮かべながらも、アレくんは柔らかく微笑んだ。

    「デートっていうと、遊園地とか美術館とか映画館とかが定番らしいから」

    一般的な話じゃなくてアレくんが好きなのかどうかを聞いたのに。…オレが取り繕ったから、好きかどうかを言えなかったのかな。

    「普通の恋人の真似事がしたいの?」

    そう意地悪に聞いてみる。

    「マオとなら、なんでもしてみたいよ」

    並んで座ったソファの上で、アレくんは愛おしそうにオレの髪を指で梳いていた。軽く頭を動かして指に擦り寄ると「猫みたいだね」と彼は笑う。
    前のオレなら、うやむやにして話を切り上げてたんだろうけど。今相手にしているのはどうでもいい有象無象なんかじゃない。この世界でただ一人、オレのことを知っていてほしいと願う相手だ。

    「ねえ、アレくん」
    「なに?マオ」

    君は本当にオレの名前を呼ぶのが好きだね。優しいこの声を聞いていると、楽しい話ばかりしていたい衝動に駆られる。けど、いつまでも先延ばしにしていたって仕方がな 3448