ウォーアイニー①【マーナの証言】


　仕事の合間にボーッと海を眺めるのが、マーナの密かな楽しみである。
　特段変わった事を考えている訳ではない。今日は何を食べようかとか、まだバターが残っていたかなとか、些細な日常の出来事をだ。
「今日も良い天気だわ～。帰りにお茶でもしに行こうかな」
　ポテポテと、今日はスメールからの観光客が多いパレ・メルモニアを巡回しつつ、元気よく頭上で輝く真夏の太陽に目を細めた。雨季から乾季へと切り替わったこの季節のフォンテーヌは、とても心地が良い。小さな体で太陽の恵みを受け止めつつ、マーナは水の薫りを胸いっぱいに吸い込んだ。
　天気は最高、気分は良好、仕事も順調。
　あと三十分で今日のお勤めも無事に終わる。いつもの場所で夕暮れを眺めようかとパレ・メルモニアの裏手へ回ると、そこには先客の姿があった。

あいどるアイドル、日本ではポピュラーな存在。

　興味の無いイサミでもテレビやニュースで聞いたことはある。
　近年では女性だけで無く男性アイドルも増えてきた、アイドル養成学校なんてある時代にイサミはスマホを開きおや？と見つける。
　未知との戦いの中、体力を養うためにも寝ようとしていたのだがイサミはその日眠れなかった。何時もならこの時間には眠れていたのに…と気晴らしにスマホを開きそこで見つけたのがこのアイドル達だった。
　昨年デビューしたばかりなりなのに初っ端から炎上していた事もあり覚えていたがどんな歌を出しているかなんて知らなかった為、気晴らしに聞いてみるか。とイサミはスマホをタップする。

　「これが、アイドルか…」