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    ゲルト

    Kakitu_prsk

    MENU1/15頒布予定の🎈🌟再録本「死がふたりを分かてるものか」の後日談書きおろしサンプルです。
    恋愛経験0故にあの夜の姿が嘘みたいに奥手全開な🌟と、あの日みたいな🌟をもう一度見てみたい紳士(内心もだもだ)な🎈。そんな中、🎈がまた怪奇現象に巻き込まれてしまい……?なお話
    そのうち支部にも上げると思います。
    君想う 故に僕ら在り 互いの想いとその重さを確かめ合ったからといって、何かセカイが一変する訳でもない。

     今日もワンダーステージは平和だし、ワンダーランズ×ショウタイムのハチャメチャさもいつも通りだ。そして、晴れて恋人同士となった変人たちも、特に人前で変わった姿や砂糖吐くほどの甘い様子を見せることなどなく……今日も類は司を振り回し、司はそんな類に振り回される。そんなありふれた日常が世界を彩っていた。というのも、あの日奈落の底で重い愛をぶちまけ、あまつさえ唇を強引に奪っていった魔性の男は……しかしその実、人へと戻れば想像以上に初心な心を持っていたのだ。
     これは付き合い始めて気づいたことだが、司は人前で『恋人同士の営み』を行うことに羞恥があるらしく、そっと手が触れたぐらいでも顔を真っ赤に慌てるほど恋愛に耐性が無かったのである。類を一生離さないと宣言した人間と同一人物だとはとてもじゃないが思えない。実際、類は司の慌てふためく姿に、最初こそにこやかな笑みを浮かべ楽しんでいたものの、流石に一か月経つ頃には「そろそろ慣れてくれないかなぁ」と少しのもどかしさを覚えていたほどだった。とはいえ、進展が皆無かといえばそうでもない。例えば周囲に人がいない帰り道であれば、互いの暖かい手をさりげなく繋いで帰れたし、控室に二人で隣り合って座っていれば、司は無言で類に寄りかかり、その頭を肩に乗せてきたりもしたのであった。
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