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    ナルト

    nami730730

    DONE冷静になると書けなくなる思い、勢いで書ききったので変な所あるかもしれません…
    強火幻覚の同時空のさらに同時空の世界で、一部のセリフをお借りしました🙇‍♀️
    黄昏時の泡沫の夢広い日本庭園、テレビや教科書でしか見たことのないような趣のあるお屋敷、薄暗い室内から見える空の色は黄昏時で、地平線の黄金色から徐々に宵闇の濃い青色へとグラデーションを織り成していた。
    夏の終わりの夕方のようなまだ熱気が残る風が吹いたかと思えば、今度は秋の夕暮れのように目が眩むような西日と共にどこか物寂しい風が吹き抜ける。
    どこか、何か、説明しようのない違和感が、ここが人間の居るべき世界ではない常世と現世の狭間の世界である事を直感的に感じさせていた。



    その日、鳥月は神野悪五郎の邸宅に招かれた。招かれたと言っても半ば強引に、人さらいと間違えられてもおかしくないような状況だった。
    いつもと変わりなく西東京妖怪公園での日勤を終え、帰宅の途につこうとしていたまさにその時、神野の配下である武者髑髏達が装飾の施された立派な駕籠を担いで現れたのだ。呆気にとられた鳥月をよそにあれよあれよと駕籠に押し込められ気がつけば空の上。ともに退勤し、すぐ間近に居たはずの同僚達の慌てふためく騒がしい声がはるか下の地上から聞こえてきたが、それもだんだんと聞こえなくなっていった。
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    調@大人向け他

    INFO3月16日東京開催のHARUCOMIC CITY 34にて、『その健やかなるときも』(小説合同誌)を頒布いたします。
    執筆者は以下、
    ORION 夜明さん
    BellaDonna Doll 高階さん
    くじら書房 えすさん
    白妙舎 調
    新婚をテーマに四季をそれぞれが担当し、それぞれの塚不二を綴っています。
    こちらは調担当の秋「I know」冒頭のサンプルです。
    『その健やかなるときも』「I know」より抜粋   一


     夜のふもとともまた違う、薄闇に手塚は立っていた。視界はうっすらすみ色で、その暗がりのどこかから、まっかだな、と歌声がした。誰のものともしれない声が繰り返す。まっかだな、まっかだな――……。
     小学校で、秋になるとよく歌わされた童謡だ。そうだ、俺にはこの歌がよく分からなかった――。手塚は今さらそんなことを思い出す。もう十何年、いや、何十年は前の話だ。
     幼い疑問が闇の中、無音で首をかしげている。あちこち真っ赤で、きみとぼくもほっぺたが赤くて、だからどうしたというのだろう。紅葉こうよう、夕日、秋なら当たり前のことだ。
     綺麗な秋をきみと過ごせてしあわせなのだと困ったように笑ったのは、何年生の教師だったか。音楽を習った教師は多くない。その内の誰かであるのだろうが、顔はそれこそ闇のようにぽっかりと暗い口を開けていた。ぎこちなく笑みを作った唇が、はくはく動いて手塚に言う。手塚くんには、むずかしいかな――?
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