Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    パラドックス

    km64_lf

    DONE12月17日DRF頒布予定の新刊【レノックス ・ラムは緑の瞳の夢を見るか?】のサンプルです。
    全13話のうち6話までを公開いたします。
    頒布についての詳細は後日投稿するお品書きをご確認ください。

    パラドックスロイドの世界でのレノックス とフィガロのお話です。
    ・捏造多め
    ・モブキャラが喋ります
    ・描写はないけどやることはやります
    ・そのほか諸々、大丈夫な方向け
    12/17DRFレノフィ新刊【レノックス・ラムは緑の瞳の夢を見るか?】 だが私は今も夢に見る、あれが芝生を、
     露を踏んで、影のように歩む姿を、
     私の歓びの歌に、いにしえの大地の
     夢多き青春を歌う私の歌に心おののかせながら。

    (The song of the Happy Shepherd / W.B.Yeats)(訳:高松雄一)

        1

     レノックス・ラムがいつも見る夢がある。
     ヘーゼルグリーンの菱形の瞳孔に冬の海のような灰色の虹彩をした不思議な瞳の男と、一緒にいる夢。ここではないどこかで、笑ったり、踊ったり、時には喧嘩をして仲直りをしたり。幼い子どもの世話をしていることもあれば、ふたりだけで晩酌をしていることもある。
     男の名前はわからない。夢の中でははっきりその名を呼んでいるにも関わらず、記憶は目が覚めると同時に急速に霧散し、夢の概要と不思議な瞳のことしか覚えていないのである。
    37505

    お箸で摘む程度

    DONEビームス兄弟
    ナイプ24話でタイムマシンが修復せず、タイムパラドックスが起きてしまった世界線のif小説。リトル・フェイスがフェイスになり、フェイスがフェイスでなくなるまでの七日間の兄弟のお話。
    決して明るい話ではありませんが兄弟間の感情の大きさについて考えています。
    one no named 張り詰めた空気の糸を、低い溜息のような音が揺らした。ぴんと張った空間に振動は波の如く伝播して、そしてそれこそが、答えだった。鉄塊は動かなかった。溜息はきっと、それを最後に生命が尽きた音だったんだろう。博士がマシンに近づいて、扉に手を掛けると、頑丈そうに見えたのにあっけないほど簡単に開く。オスカーが小さく息を呑む。

    「お兄ちゃん、おれ、おうちに帰りたい……」

     色褪せた写真から、存在したはずの過去は消えていた。



    one no named



     この世から、俺の存在は無くなった。これを一日目とする。
     沈黙のタイムマシンから再び顔を出したリトル・フェイスは、彼こそが、この世のフェイス・ビームスだった。過去に帰るはずだった彼は、帰る家をこの世に知っていた。兄をこの世に知っていた。戸籍上、フェイス・ビームスとして、七年前の二月十四日を生年月日に記されている。二十年前の記録はもう、どこにも見当たらない。
    7827