Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    プリンス

    shimotukeno

    DONEこの前ワードパレットで書いたプリンスのフーイル(ちょびっと加筆)
    ping pong mum  来客を告げるチャイムに、イルーゾォは面倒そうに顔を上げた。
     イルーゾォと同じく今日はオフのホルマジオは、インターホンを確認してイルーゾォに視線を送る。イルーゾォへの客人だった。誰であるかは言わずともわかる。彼女が大儀そうに腰を上げると、ホルマジオは完全に野次馬気分でついていった。
     玄関ドアを開けると、ギィィと不満げにきしんだ音と共にフーゴが現れた。伏目がちで、瞳の色は前髪と長いまつ毛に阻まれてよく見えない。だがきっといつもみたいにどこか自信なさげな目をしているだろうことは想像に難くない。今回もダメそうだな、とホルマジオは苦笑した。
     あの日――イルーゾォが退院した日――何があったかはよく知らないが、あれ以来フーゴはイルーゾォに何度も交際の申し込みをしに来ていた。だが連戦連敗である。どうもフーゴはイルーゾォとの歳の差を意識して、少しでもスマートに、大人っぽく背伸びしようとしているのだが、逆にそれがイルーゾォのお気に召さないらしく、完全に裏目に出ているのだ。作戦を根本から変えなければいけないのに、それに気付かないフーゴがもっと背伸びしようとするので連敗記録を更新し続けている。フーゴのしょんぼり顔はもうチームでもおなじみである。
    1483