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    一文字

    ヰノ

    MAIKING不思議なお店の話の冒頭の草案
    猫がいる本丸と南泉一文字
    その店は、万屋街の外に居を構えていた。
    小さな花屋の隣、ともすれば見落としてしまうほどのささやかな玄関。看板もないその店の存在に南泉一文字が気付いたのは、店先を掃除している一振りの短刀がいたからだ。
    「お困りですね」
    箒を持ったまま五虎退がいやに断定的な言葉を掛けてきた。
    南泉は何の事かと思ったが、すぐに自身が持つ『困りごと』の存在を思い出し、戸惑う。
    そんな様子を意に介さず、五虎退はアンティーク調のノブを引き、店内へ導いた。
    「どうぞ。お茶を用意します」
    誘われるままに踏み込んだ店は、洋風のアンティークなカフェを思わせる内装の、少し薄暗い雑貨屋だった。古臭くはあるが、煤けてはいない。手入れの行き届いた上品さがある。
    五虎退が勧めるソファに掛けると、その座面の柔らかさに驚いた。南泉がこれまでの刃生で座ったことのあるどのソファよりも(彼の本丸にソファはないので、彼は今まで政府施設の布張りのベンチをソファだと信じていた)柔らかいのだ。
    何故か連れ込まれた店内で持て余した時間を、ガラス瓶を逆さにしたようなランプが吊り下がっているのを眺めて潰していると、紅茶とクッキーをトレイに載せた愛染国俊 1728

    Lupinus

    DONE男審神者×南泉一文字 自分似のうさぎが気になるにゃんせんくん 長義くん視点審神者の執務室の文机に置かれたぬいぐるみの前で南泉一文字が腕組みをしている。
    「なんでうさぎなんだよ……にゃ」
    「猫のほうがよかったのかな?」
     そう山姥切長義がたずねると、南泉は面白がるでも腹を立てるでもなく肩をすくめる。
    「そういう話はしてねぇよ」
    「ははっ、それはそうだ。猫ならもうここにいるからね、わざわざ欲しがるものでもない」
    「だからそういう話はしてねぇって言ってるだろ……にゃ!」
     さすがに二度目は振り返って威嚇するも今ひとつ勢いがない。
    「そんなにしょげることでもないだろう? たかがぬいぐるみだよ。かわいい猫ちゃんに飽きて、うさぎに鞍替えしたというわけでもあるまいし」
    「猫じゃねぇって……べっ、別に鞍替えとか思ってもねぇし」
     南泉が頬を膨らませたところへ、折良くこの本丸の主がひょっこりと顔を出す。二人で何を話しているのかと笑うから、拗ねた近侍殿の内心を代弁してやることにする。
    「あぁ。どうも彼は主がうさぎを愛でているのが不満らしくてね、すぐそばにこんなにかわいい猫がいるのにと愚痴をこぼしていたよ」
    「にゃっ!?」
     絶句する南泉をまじまじと見つめる審神者に会釈して執務室 540