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    伽羅

    花咲流奈

    DOODLE花暦13話『梅』を聞いて思い浮かんだ小ネタになります。きっと伽羅ちゃんはなんらかの任務で本丸には不在なんだろうな、と思った結果こうなりました。鶴丸を気遣う大倶利伽羅の気持ちと、それに応えた日向の掌編。CP要素はありませんが、くりつるの人間が書いているので微かに香るものはあるかもしれません。
    やさしい気持ち 刀剣男士たちが寝起きをするための棟、その一室から灯りが漏れているのを確認した日向は大急ぎで厨に向かい、残してあった汁物を温め直し、用意してあった握り飯に漬物を添えて戻る。
    「……鶴丸、まだ起きてる?」
     声を潜めて問いかけると、間もなく戸が開いた。
    「日向じゃないか。こんな時間にどうしたんだい?」
     夜も更けて、そろそろ日付が変わりそうな時間に訪れたのだから、その質問はもっともだ。
    「夕餉、食いっぱぐれたでしょ。おにぎりと味噌汁だけだけど、何かお腹に入れてから寝た方がいいと思って」
     今日一日、日向は注意深く鶴丸の動向を確認していた。実は夕餉だけでなく、昼餉も抜いていることは確認済みなのだ。
     刀剣男士は食わなくても死にはしないが、空腹という感覚はあるのだから、任務中ならいざ知らず、本丸での日常でそれを誤魔化すのは難しい。
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    美晴🌸

    DOODLEぽやぽやしている三日月と無自覚な伽羅ちゃんと逃げ切りたい鶴丸の話
    三日月宗近の相談室 三日月宗近の最近の趣味はといえば、トランプタワーを作ることである。トランプピラミッドとも呼ぶ。
     一組のトランプを使い、ピラミッド型のタワーを組み立てていく。これが、なかなか面白い。手先の器用さと集中力が必要となるトランプタワーは、のんびりとした性質であまり器用とはいえない三日月には到底向いていない趣味だったが、はじめてみると止まらなくなる。一応、組み立てるのは一日に五回まで、と決めてはいたが、最初のころは失敗してぱらぱらと崩れていくのも楽しくて、何度も何度も繰り返して飽きず組み立てたものだった。
     集中して組み立てている一方で、頭のどこかで様々な考えを整理する。今日の出陣の振り返りから、次の出陣で失敗をどう活かすか、円滑に仲間と連携を取るための方法は。そんな真面目なことから、今日の夕餉の内容について、もし嫌いなおかずがでたらどう逃げるか、ということも考えたりする。あまり、揚げ物の類いは好きではないのだ。若いのに譲ってやりたいが、要領のよくない三日月はすぐに見つかって怒られてしまう。短刀たちは揚げ物が好きだから、悪いことではないと思うのだがなあ、と言い訳しても駄目だった。悲しい。
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    美晴🌸

    DOODLE同じ日に顕現した大倶利伽羅と女士の鶴丸のラブコメです。
    大倶利伽羅くんの苦労性な日常②「伽羅坊、ちょっと付き合ってくれないか」
     鶴丸国永にはノックという習慣がない。引き戸であるから仕方がないのだが、それにしたって声を掛けるのと同時に戸を引くのはどうかと思う。見られて困ることでもしていたらどうするつもりなのだろう。残念ながら鶴丸にはその発想もないのだ。
    「なんだ」
     部屋の掃除をしていた大倶利伽羅は、作業をしていた手を止めて顔を上げた。
     大倶利伽羅の部屋には物が多い。困ったことに、私物というわけではなかった。鶴丸が好き勝手に物を持ち込んでは置いていくのである。捨てるわけにもいかず、かといって鶴丸の部屋には入りにくい。鶴丸の部屋は大倶利伽羅の部屋のとなりであったが、鶴丸がこの本丸唯一の女士ということもあり、そこに立ち入る気は起きなかった。こうして鶴丸が毎日のように大倶利伽羅の部屋へ入り浸っているので今更他人から受ける誤解を気にする段階はとうに過ぎ去ってしまったが、大倶利伽羅なりに気を遣ってのことである。また、鶴丸は自分が女士であることにあまり頓着をしていないので、自分が着替えをしている最中であっても訪ねる者がいたら入室を許可してきそうな光景が容易に想像できたから、というのもあった。
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