Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    @t_utumiiiii

    DOODLE「この歌劇では正義よりも慈悲が重んじられるのだ」(三文オペラ)/「ホワイトサンド孤児院にリサは収容されていたが、ピアソンは顔を覚えていなかった」という前提で、ピアソンさんがたまたま懐具合に余裕があったのでリサを病院に売らず手元に置いたifルートのピアソンさんとリサ ※暴力・虐待を連想する描写があります
    乞食王(泥棒遡及妄想時空のピアソンとリサ) いっときはホワイトサンドストリートに建てた「自分の王国」から追放されるという憂き目を見たものの、出獄後の通りすがりでたまたますれ違った紳士の財布を元手に始めた私的な金貸しの副業が大当たりしたピアソンは、今や、ある意味で裏路地を取り仕切る顔役となっていた。食い詰めたよそのものが住処を追い出されて流れてきて、ここらの地べたに座り込み哀れみを乞うには、「乞食商会」を束ねる彼への「届け出」と「許可」、そして、稼ぎの半分を上納金として納めることが必要だった。
     王は王でも「乞食の王」という身分は、彼がかつて肩書きにしていた“慈善家”と比べれば、社会的な地位としては雲泥の差だ(と、ピアソンだけがそう思い込んでおり、実態としてはどちらもそう大差ないのだ)が、何であれ、自分を長に据えた居場所があり、自分が汗水だけに留まらず、時に血を垂らしながら何かとあくせくしなくとも、他の乞食どもの上前で酒を飲むぐらいはできるのだから、まあ、それなりにいい身分ではあった。
    5079

    ぬのさと

    DONE双聶本「You Mean the World to Me」につけていたおまけ折り本の再掲。
    最初は秋の話だったのを途中で春に変えたので、秋バージョンを持っている方はレアかも。
    元ネタは北宋の徽宗のエピソードです。
    作中の七言絶句は、『全唐詩』所収の劉長卿「過鄭山人所居」(鄭山人の所居を過ぐ)より。
     寂寂孤鶯啼杏園
     寥寥一犬吠桃源

    (寂寂として孤鶯、杏園に啼き
     寥寥として一犬、桃源に吠ゆ)
    ものいう鳥 数ある仙門世家のうちで唯一、刀術を使う清河聶氏の当代宗主は、聶懐桑という。
     勇猛なこと、義に篤いことで世に名を馳せた聶氏を束ねる長として、聶懐桑はあまりにも頼りない。領内でもめごとが起きても、悪鬼邪魅のたぐいが跋扈していると領民から訴えがあっても、困り顔に気弱げな笑みを浮かべて扇子ではたはたとあおぐばかり。なにを聞かれても「知らない」としか答えない、一問三不知とあだ名される人物だった。
    「――知らない」
     ふいに、つややかな黒い羽根の小鳥がそう云った。暖かな陽射しが明るかった。
    「ふうん、おいしいかい?」
     聶懐桑はにこにこと笑いながら、目もとから頭の後ろにかけて黄色い肉垂れのある、真っ黒な小鳥に手ずから餌をやった。九官鳥は橙色の嘴を開け、
    1438