雪と兎とおみくじと。ーちらちらと舞い散る、白い雪。
窓の外、視界を覆うその白さにほう、と息を吐けば、まだ温まり切っていない部屋の空気が暁人の吐いた息のかたちを煙のように可視化してみせた。
『ー今日は都内でもそれなりに積もるらしいぜ』
今日が休みでよかったな、と呟くその声にそうだね、と返して、そっと揺れるカーテンを閉める。ぺたぺたとスリッパの足音が、ちいさなワンルームの部屋に響いた。
「・・・KKはさ、雪って・・・好き?」
『あ?・・・・まあ、雨よかはマシだな』
「・・・そうなんだ」
どこか浮かない顔で、誰にともなく呟くその表情。
もしKKが目の前に居たなら、きっと「オマエなんて顔してんだ」とでも言われただろうが、暁人の表情を映すものがない今、彼の体の中に居るKKがその顔色を知ることは叶わない。
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