杜野凛世
endoumemoP
DONE杜野凛世/忘れられない女の子/凛世を見かけ、凛世を見つけられない人の話杜野凛世/忘れられない女の子/凛世を見かけ、凛世を見つけられない人の話 その女の子に出会った日のことを覚えている。
珍しく涼しい夏だった。朝に買い置きのレトルトカレーを食べたきりで、空腹に耐えかねて私は夕刻に家を出た。
一蘭で腹を満たして気持ちにゆとりが出た頃合いに、私が最近気に入って観ているアニメのラバーストラップの発売日が今日であることを思い出した。ぜひ休日に使っているリュックに着けておきたい。汁を全部飲むのも惜しく、底面に一センチほどを残して私はアニメイトへ急ぐこととした。
前に来た時とは売り場のレイアウトが変わっており、売り場を探すには少々難儀した。私が求めているものではないセーラー服や学ラン姿のキャラクターのグッズに舌打ちしたい気持ちを抑えて売り場をさまよい、全キャラ分のラバーストラップを一つずつ得て会計を済ませる頃、彼女は店の入り口に姿を見せた。
1806珍しく涼しい夏だった。朝に買い置きのレトルトカレーを食べたきりで、空腹に耐えかねて私は夕刻に家を出た。
一蘭で腹を満たして気持ちにゆとりが出た頃合いに、私が最近気に入って観ているアニメのラバーストラップの発売日が今日であることを思い出した。ぜひ休日に使っているリュックに着けておきたい。汁を全部飲むのも惜しく、底面に一センチほどを残して私はアニメイトへ急ぐこととした。
前に来た時とは売り場のレイアウトが変わっており、売り場を探すには少々難儀した。私が求めているものではないセーラー服や学ラン姿のキャラクターのグッズに舌打ちしたい気持ちを抑えて売り場をさまよい、全キャラ分のラバーストラップを一つずつ得て会計を済ませる頃、彼女は店の入り口に姿を見せた。
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DONE杜野凛世:かたしろ:凛世が倉庫にある自身のフィギュアを見つける話杜野凛世:かたしろ:凛世が倉庫にある自身のフィギュアを見つける話「……!」
283プロの倉庫の一角、人知れず杜野凛世は身を震わせる。
これまでに発売された283プロのアイドルたちのグッズが保管されたその棚にはCDが並び、キーホルダー、タオルなどの小物も全て取り揃えられている。
「……」
凛世のフィギュアも、箱から出されることなく、そのまま。
「……プロデューサーさま……」
震えた声にうら寂しさが滲む。
フィギュアの発売から一年が経ったから、今年発売されたグッズ類の後ろにフィギュアは潜んでいた。追いやられたようだ、と思うと、凛世はそれが自分のことのように錯覚してしまいそうになる。
「――凛世? ここにいたのか」
不意にドアが開いて、プロデューサーが姿を見せる。さあと心に涼風が吹きつけたかと思えば心臓がちりりと焦げ、だというのに胸に覚えた寂しさはそのまま凛世の胸に穴を開けたままだった。
1025283プロの倉庫の一角、人知れず杜野凛世は身を震わせる。
これまでに発売された283プロのアイドルたちのグッズが保管されたその棚にはCDが並び、キーホルダー、タオルなどの小物も全て取り揃えられている。
「……」
凛世のフィギュアも、箱から出されることなく、そのまま。
「……プロデューサーさま……」
震えた声にうら寂しさが滲む。
フィギュアの発売から一年が経ったから、今年発売されたグッズ類の後ろにフィギュアは潜んでいた。追いやられたようだ、と思うと、凛世はそれが自分のことのように錯覚してしまいそうになる。
「――凛世? ここにいたのか」
不意にドアが開いて、プロデューサーが姿を見せる。さあと心に涼風が吹きつけたかと思えば心臓がちりりと焦げ、だというのに胸に覚えた寂しさはそのまま凛世の胸に穴を開けたままだった。