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    浮気現場

    Lei

    DOODLE👹の浮気現場を目撃して、海に行く🦊の話
    波の音海に来たのは気まぐれだった。いつものヴォックスの浮気。本気じゃないことは分かってる。かと言って、自分以外の人を口説く恋人を見て楽しい気分じゃなくなるのも事実。ヴォックスが来ないようなどこかに行ってしまいたくなって、俺がいないことに気づいたヴォックスが困ればいいなと思って、ミスタは電車に飛び乗り、気づいたら海にいた。
    ただ海岸線を眺める。きっとヴォックスの1番はKindred だろう。それはいい。ミスタもMystakesは大事だ。そして次にLuxiemの皆。それに関しても、ミスタも同じだ。彼らは愛すべき、家族で友人だ。でもきっとヴォックスは、愛が多い人なのだ。その次の恋人であるミスタにだけでは、愛が余る。だから自分以外にも、愛を囁く。太陽が海面に反射して煌めく。美しい光景とは相反して、自分の気持ちはどんどんと海底に沈んでいく岩のように暗く深くなっていく。泣きそうになって、顔を膝に埋める。自分が、ヴォックスの愛を全て受け止められるような強い人間であったならいいのに。彼からもたらされる愛は、甘く麻薬のように依存させてくる。戯れのようにもたらされる愛ですら、そうなのだ。きっと、本気の愛は受け止めきれず自滅するのが分かる。なら彼が他にも愛をもたらす相手がいるのを許すべきだ。でも、それもできない。相反する気持ちに苛まれ、言葉にすることのできないモヤモヤとした気持ちを抱える。近くにあった石を、とりあえず投げてみる。ぽちゃんという音が耳に心地いい。少し気持ちが上を向いたので、靴を脱いで素足を曝け出す。ズボンの裾を捲り上げ、足をつける。ひんやりとした水温が心地よく、ぱしゃぱしゃと音を立てる。そう言えば、彼から連絡は来ているのだろうか。今日はディナーを共にする約束をしていた。早めに会って買い物もする予定で、待ち合わせの時間はとっくに過ぎている。近くの岩場に腰かけ海に足をつけながら、スマホを取り出す。すると、そこにはおびただしい数の着信とメッセージの通知が来ていた。
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