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    現在

    mitsuhitomugi

    REHABILIものすご〜〜く久々に書いています(現在進行形)。
    登場人物が構想に一切なかったはずの意図しない挙動をとりまくるのでこの後どうなるかは私にも分かりません。
    9/6 ちょっと進んだ
    俺たち同窓生 薄らと冬の気配を残した四月上旬の気候はまだ少し肌寒い。それでいて、新たな環境に浮かれる生徒達の騒めきがそうさせるのか、入学式から十日ほどしか経っていない校舎はどこか熱気を帯びている。
     初等部から高等部までを備えた学園の特性上、在籍する生徒の顔触れが一変する訳ではないのだが、やはり「高校生になった」という実感は別格のものなのだろう。持ち上がり組と受験組が混ざり合った新一年生の教室は、期待感と緊張感とで日がな一日落ち着かない様相だった。
     かくいう真田も、日頃あまり他人や環境の変化に左右されることは無いのだが、この時ばかりは密かに新生活への期待感に心を躍らせていた。高等部ともなれば、部活動の設備もより整ったものになる。中等部でも在籍していたボクシング部だが、高校では更に優れたトレーニングに取り組めるだろう。対戦相手となる他校生のレベルも当然上がってくるはずだ。そう思うと自然と胸の内に熱いものが滾った。
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    michiru_wr110

    DONEbrmy
    弥代衣都(+皇坂+由鶴)
    捏造しかない・弥代衣都の中に眠る、過去と現在について
    image song:遠雷/Do As Infinity

    『きょう、ばいばいで。また、ママにあえるの、いつ?』
    軽やかに纏わる言霊(弥代衣都・過去捏造) 女は視線でめつけるように傘の骨をなぞり、露先から空を仰いだ。今日という日が訪れなければどれほど良かっただったろうか、と恨みがましさを込めて願ったのに。想いとは裏腹に順調に日を重ね、当たり前のような面をして今日という日を迎えてしまった。

     無機質な黒色の日傘と、切り分けられた青空。都会のように電線で空を区切ることも、抜けたように広がる空を遮るものもない。しかし前方には、隙間なく埋め尽くされた入道雲が存在感を主張している。

     女の両手は塞がっていた。
     片方の手には日傘。そしてもう片方の手には、小さな手の温もり。
     歳相応にお転婆な少女は女の腰にも満たない背丈で、時折女の手を強く引きながら田舎特有のあぜ道を元気に駆けようとする。手を離せば、一本道をためらいなく全力疾走するであろう、活発な少女。しかし女は最後の瞬間まで、この手を離すつもりはない。手を離せば最後、何もしらない無垢な少女はあっという間に目的地へとたどり着いてしまうに違いない。
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