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    ことざき

    DONE祠を壊した人に対するけけおじさんの反応を想像しようとして、どうしても思い浮かばず、捏ねくりまわしているうちにできた話。

    偕老同穴
    『生きてともに老い、死して墓を同じくすること。夫婦仲睦まじいこと』
    偕老同穴の契り リビングで華やかな旋律が鳴っていた。
     暁人はニンジンに包丁を入れかけていた手を止め、背後を振り返った。視線の先、二人で使うにはやや手狭なダイニングテーブルの上で、暁人のスマートフォンが細かな振動を繰り返している。暁人お気に入りのこのメロディは、パートナーであるKKだけのものだ。
     今朝、朝食の席で彼から聞いた話では、怪異調査には一晩中かかるだろうとのことだったが、予想外に早く終わったのだろうか。暁人は包丁をまな板の上に置き、ざっと手を洗うと、キッチンと地続きのリビングへ早足で向かった。
     ともに暮らしはじめた当初から口を酸っぱくして言い聞かせてきた甲斐あって、KKはここ最近、ようやく予定変更の連絡をちょくちょく入れるようになってきていた。この着信も、そのためのものかもしれない。彼と一緒にご飯を食べられるのであれば、少しくらい夕飯が遅くなってもまったく構わないし、たとえ夕飯には間に合わなくとも、一緒に眠れるならやはり嬉しい。
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    和花🌼

    DONE夏祭りリクエスト六
    銀ポニ
    次の言葉が入っています
    花火/人の流れ/穴場/聞こえない/一瞬
    夏祭り6(銀ポニ) ——やけにふわふわだな。
     それが最初に、目の前にいるこの男を見た時の印象だった。
     そんなわけで、俺も多少は驚いたが、俺を見た男の方が俺よりも驚いていた。
    「ひ、ひじかた! おい! これ、どういうこと! どういうことだよ!」
     男のあまりの剣幕に俺が呆気に取られていると、奥から出てきたメガネをかけた野郎に首根っこを掴まれて引きずられて行った。
    「はいはい、銀さん。とりあえず話を聞きましょうね。沖田さん、と……土方さん、でいいのかな。いらっしゃいませ。今日はお客様ってことでいいんですよね」
     銀髪の野郎はまだ「なに、呪い?! それとも、タイムスリップ? 土方に何をしたんだよ!」と喚き散らしている。
     俺の仲間だと紹介された真選組の奴等よりも、よほど慌て方が凄まじい。俺の名を呼んだということは、おそらく知り合いなんだろう。しかも、これだけ心配しているということは、友人、なのかもしれねぇ。俺に友人なんて呼べるもんができているとは思えなかったが、あんだけ大勢の仲間がいると言われた後だ。仲間以外にも、何かしら交流がある連中もいるんだろ。そこのメガネも、俺の事を知ってるみてぇだしな。
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