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    hiko_kougyoku

    DONE若やまささ+雨緒紀、乃武綱……他
    「希望という名の罪」⑤(終)
    ※続・雨緒紀の物語
    ※やまささと言い張る。
    ※捏造あり。かなり自由に書きました。
    ※名前付きのモブ有。
    ※流血描写あり。
    希望という名の罪⑤(終)  7

     隊首会議は日が昇ってすぐに開かれた。緊急の招集ということもあり、任務や騒動の事後処理で不在の者を除けば、参加者は十三人の隊長の半分にも満たない。
     一番隊執務室に集まったのは元柳斎と雨緒紀、そして乃武綱、卯ノ花、不老不死、金勒のみ。今回の当事者である雨緒紀から騒動のあらましと作兵衛についての話を聞いた一同は、ついさっき起こった反乱とも呼べる事件のめまぐるしさに沈黙するしかなかった。
    「渦楽作兵衛は拘禁牢に入れてある。あいつの所属は一番隊だから、処遇については山本が決めるのが妥当だと思うのだが」
     言いながら雨緒紀は参加者の顔を見回し、反応を伺う。誰も何も言わない。乃武綱と金勒は神妙な面持ちで床の一点を見つめており、珍しく隊首会議に顔を出した卯ノ花に至っては、まるで座したまま眠っているように薄く目を閉じている。逆に不老不死は、背中にのしかかるような空気感に落ち着かないのか、そわそわと他の隊長の顔を見比べるばかり。
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    hiko_kougyoku

    DONE若やまささ+雨緒紀、乃武綱……他
    「希望という名の罪」③
    ※続・雨緒紀の物語
    ※やまささと言い張る。
    ※捏造あり。かなり自由に書きました。
    ※名前付きのモブ有。
    希望という名の罪③  5

    「あれは嘘だ」
     こちらを睨みつける作兵衛の声が、鉛の重厚感で臓腑の底へと沈んでゆく。「俺は山本重國を始末するためにここにいる」続けられた声に脳天を殴られた心地になった長次郎は、ただただ呆然としながら目の前の人物を眺めることしかできなかった。
     そこには自分を一心に慕ってくれた後輩はもういない。純粋さの下に隠した本性をむき出しにして冷たい狂気に身を浸す、一人の復讐者が存在していた。その目には自分以外――長次郎を含めた全ての人間を拒絶し、否定し、ひたすら孤独に徹してきた、悲痛な感情が宿っているのが見て取れた。
    「何故……」
     足元から競り上がるこの感覚はなんだろうか。悲嘆か、憐憫か、それとも恐怖か。肋骨の下で渦巻く感情に喉を締め付けられる心地になりながらも、長次郎は凛然と作兵衛を見つめる。ついさっきまで先輩と呼んでいた人間の、隠しきれない不安に染められた声を聞いた作兵衛の方は、自虐的な笑みを崩さないまま訥々と話す。
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    hiko_kougyoku

    DONE若やまささ+雨緒紀、乃武綱……他
    「希望という名の罪」②
    ※続・雨緒紀の物語
    ※やまささと言い張る。
    ※捏造あり。かなり自由に書きました。
    ※名前付きのモブ有。
    希望という名の罪②  2

     光と呼ぶには頼りない、淡々しい陽光が雲間から細く差し込んでいる。薄雲の下に広がる極彩色の紅葉は、その鮮やかさを存分に発揮できるまでの明度がないせいかどこか暗い影を落とし、山の方からゆるく吹き抜ける風の中をざわざわと漂っている。
     七番隊舎の見学から一晩が明けた。朝の定例会議を終え、真っ先に自分のもとへ来た作兵衛に、長次郎はこんなことを言った。
    「作兵衛、今日は流魂街の見回りに行こうと思うのだが、付いてくるか?」
    「行きます」
     即座に返って来た、打てば響くような返事。その声を発した本人が、どこへいくのですかと目だけで訴えれば、長次郎は緊張を孕んだ面持ちのまま答えて見せる。
    「行き先は――」


     北流魂街七十五区。瞬歩を使いながら最短距離を移動してきた二人は、人目に付かないよう郊外に降り立った。草履越しにも感じ取れる乾ききった大地はそれだけで不作を想像させ、はじめて足を踏み入れる下層地区に心臓がせわしなくなるのを実感しながら、長次郎は辺りを見回した。
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    ofu_chiamido

    MOURNING数年前の某スパロボネタより、想いを伝えないまま何度も散っていく2人の話。ずっと暗い。
    ・ガッツリ死ネタ
    ・つきあってない
    ・隊とえーち様(最後だけ)の出演
    ・直接描写はないけど隊たちが敵を倒す(=間接的に人が亡くなる)描写あり
    ・世界観は公式ストより妄想、捏造あり
    救いのない世紀末でも愛し合ってて欲しいなと思ったらこんなのが出来てしまって頭抱えました。
    星は堕ち、君と巡りて「システムオールグリーン、前方右斜め45度に標的を確認!」
    「『おもかじ』いっぱい~!こっちもじゅんびできましたよ」
    「両翼の起動も問題無しッス!操縦桿の操作可能ッスよ」
    「後方確認、第三者介入の気配なし。いつでもいけるでござる!」
    「バッテリーの残量を確認、フルチャージ完了しました」
    「ようし、いくぞ!!」
     その瞬間、それぞれ別方向から聞こえていた五つの声が一斉に叫ぶ。
    「撃て!!」
     巨大な機体から放たれる、まばゆいばかりの閃光。それは空気のない宇宙を揺らし、はるかかなたの星をも揺らす。目の前が真っ白にフラッシュし、その光が消えると白と黒の視界がやってくる。
    「…やったか?」
    『よくやったね、流星隊。迎撃完了だよ。すみやかにスペースコロニーへ戻るように』
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