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    toooocl8

    DONEぬかに(鰤)の100日アニバーサリーに便乗したSS。Xにもあげたもの。
    ある朝、エイトが目を覚めたときのこと。
    ※エイトの過去を少し捏造した描写あり。
    ※カップリング要素なし、使い魔二人が出てきます。
    Take my hand 早く大人になりたかった。
     大人になれば、自分の好きなところに行って、好きなことができると、信じていたから。
     先に貰われていく、歳の近い友達。新しい家族に不安もあるけれど、みんな嬉しそうな顔をして、きっと手紙を書くからと言って別れた。最初のうちは届いた手紙も、ぱったりと来なくなって、また、誰かが新しい家族に手を引かれていく。
     俺の番は、やってこない。
     誰か、この手を引いてくれる人は、いないのかな。
     そう思うのは、すごく、悲しくて、寂しくて。だから、そういう気持ちは出来るだけ、奥底に沈めていた。
     早く大人になりたかった。そんな悲しい気持ちで、誰かを待っているだけなんて、もう嫌だったから。


     目を覚ますと、うっすらと涙が浮かんでいた。なんだか、久しぶりに昔のことを思い出した気がする。天井は既に見慣れてきた屋敷のものだ。それをぼんやりと眺めていた。遠い昔のことのようで、つい、この間のことのような夢だ。胸の奥がぽっかりと空になったようで、大きく息を吐いた。
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    yaku_tee

    PROGRESS大学一年の謙侑話。今回は謙也編。
    ※捏造過多注意。蔵侑要素あり。未完。モブ女出没注意。言い争いの不穏な空気あり。
    話の都合上侑士と白石は東京下宿、謙也は大阪実家在住です。
    今回の話だけだと特に蔵侑要素を含みますが、しっかり謙侑のつもりで書いてます。将来的には謙侑になります。でも駄目そうな方はお気をつけください。
    完成にあたっては支部に投げると思いますが多少の変更があるかも。
    暫定無題「――よっしゃ、着いたで東京!」
     その日、忍足謙也は地元大阪から飛び出し、新幹線に揺られること二時間少々、遠路はるばる東京の地を踏み締めていた。
     一人でここを訪れるのは初めてではない。中学、高校時代にも何度か訪れたことがあるし、大学生になって四ヶ月ほど経つが、その間にも一度だけ利用したことがあった。
     だが謙也はここに来るたびにいつも同じ違和感を感じていた。ここが見知らぬ駅だからとか、見知らぬ地であるから、というわけではない。それは違和感ではなく、単純にここが違う土地である、という事実として受け止めている。そうではなく、忙しそうに周りを通り過ぎてゆく人々が、地元の人々と同じ人間であるはずなのにどこか無機質に感じられるのだ。それは、異郷の地に降り立った、という謙也の東京に対する認識がそう見せているだけなのかもしれない。何度訪れても謙也の肌がこの地に馴染むことはないのと同じように、心のどこかでここは自分の居場所ではないと感じているのだろう。
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